MENU

性弱説で考えないと組織は衰退する

先日、日経トップリーダーを読んでいたら、キーエンス流「性弱説」という記事を見つけました。
「性弱説」に基づいてこそ、社員を成長させられるということです。
私も本当にその通りだな、と思いました。
「性弱説」とは、”人は弱く簡単で楽な方に流れやすいので、なかなか行動をしてくれない。”という前提で、戦略を立てていくことです。

私自身経験がありますが、例えば、テスト前とか勉強をしないといけないと分かっているのに、ついつい漫画を読んでしまって、気が付いたら勉強する時間が少ししかなくなってしまった、みたいなイメージです。
どんな人でも、人間は弱いのでついつい楽な方に流れてしまいますよね。
社会人の方でも多いかもしれません。やっぱり色々な企業様にお話を聞いていると、営業員の方が、「行きやすいお客様のところばかり訪問している」とか「営業活動しないで、遊びに行ってしまっている」というようなお悩みを抱えている社長様もたくさんいらっしゃいます。

そのような場合に、頭ごなしに、「何をやっているんだ?」と強く指導しても一時的な改善にしかなりません。
もちろん、それも大切ですが、根本的な改善策としては、仕組みとしてそのようなことが起こらないようにすることと、自発的に仕事に取り組める人を採用することが大切です。

では、どうやって仕組みを構築していくべきか?
それは人間が成果を出しやすい環境を作るべきです。
人間が成果を出すためには、能力とやる気が大切です。能力とやる気の掛け算で決まります。
能力はその人個人の資質がもちろん大切ですが、訓練によっても鍛えることが可能です。
やる気はその人個人の要因と職場環境によって決まります。その人個人の要因とは、例えば価値観などです。
つまり、職場環境の改善や研修制度、評価体制、組織体制などの経営の原理原則に基づくことを徹底的に行いながらも、採用活動自体をしっかり見直さなければ、成果の上がる環境を作ることはできません。
なぜなら、個人の要因で決まってくる以上、自社で成果を出せる人を採用せざる得ないからです。

では、どのような方向性で採用戦略を行なっていくべきか?
それは、採用活動の入り口で、会社の価値観やミッション、文化に共感してくれる人を採用することです。
もし、そこに共感してくれなければ、その人のやる気は出ません。
やる気が出なければ、その方にどんなに能力があっても成果を上げることができません。
例えば、営業員の方は、自社と自社の商品・サービスを愛していないと販売確度は一気に落ちるでしょう。
「お客様のために本当にこの商品を使って欲しい」と心から願いセールストークをしている人の方が間違いなくお客様の心を動かせます。

そして、求人募集において、よくありがちなミスが、応募数にこだわることです。
もちろん、そもそも応募がなければ採用をすることができませんので、応募が無くても良いと言っている訳ではありません。
しかし、100件応募が来たところで、自社の価値観やミッション、文化に共感しない方からの応募しかなければ、全く意味がないどころか、無駄に工数が掛かってしまい、マイナスです。
ましてや、価値観やミッション、文化に共感しない方を採用してしまったら生産性は大幅に低下するでしょう。
我々の理想としては、1応募、1採用。
1人の応募が来て、その1人がまさにその企業様が求めている人材であり、そして採用後にもモチベーション高く働いてくれ、実績を出してくれている、そういう状況が理想です。

そのような人を採用するためには、前回の記事でもお伝えしたように、しっかり求職者のターゲットを鮮明にして、その上で、自社の価値観やミッション、文化をしっかり訴求していくことが大切になります。
求職者の方が、「この会社のために、この社長のために、そして、この商品・サービスを望まれているお客様のために」仕事をしたいという心意気で日々仕事をしてくれるようであれば、その求職者の方の能力が少し低くても、組織の生産性は上がってきます。

ちなみに、もう1つ大切なことは、個人の資質です。
能力は資質と訓練によって決まってきますが、明らかに資質がない人に対して訓練しても、すごく時間がかかります。
なぜなら、仕事の成果は暗黙知で決まることも多いですが、資質がない人がその暗黙知の感覚を掴むのは非常に大変だからです。
例えば、私の場合、新卒で入社した会社が営業職でした。正直、やる気はあったので、朝から晩まで毎日仕事をし、テレアポも1日300件、DMは60通、その上で飛び込み訪問などもしていました。
もちろん、毎日インプットしたり、いろいろな人に話をきいたりして、自己研鑽もしていました。
その結果、どうだったか?と言いますと、1年目の売上ランキングは500人同期がいて、そのうちの490位という結果でした。
ほとんどビリですよね。
その時は、ただ悔しくて苦しいだけでしたが、実は最近、適正テストというのを受けたのです。
そこで出てきた結果に愕然としました。なんと私に適していない仕事は営業だったのです。
他にはデザインやクリエイティブな仕事は向いていないようです(泣)
逆に、向いている仕事は、ディレクター業務やプロジェクトマネージャー、リサーチ、研究職、経営者などだそうです。
そのため、もしかしたら、私が営業職ではなく、ディレクター業務やプロジェクトマネージャーのような仕事についていたら、初めから成果を出せていたかもしれません。
とはいえ、私の場合、その後3年目で営業のコツを掴むことができ、大きく売上が上がるようになりました。
そして、8年目くらいで、営業の本質を掴むことができ、どんな商材でも安定して売上を立てられるようになりました。
だからこそ、トップセールスの暗黙知を言語化することができて、営業を教えることには非常に自信があるのですが・・・

このように、資質が無くてもやる気があって、長年継続してスキルアップを目指していけば成果を出すことは可能です。
とはいえ、3年近くも待てないという企業様も多いと思います。

であれば、やはり、求人募集の段階からしっかり見極めて採用していく必要があるでしょう。
もちろん、個人の資質に関しては厳選し過ぎるのもよくありませんが、私みたいな明らかに営業員に向いていない人間を営業職として採用してしまうと、売上を上げるまでに時間がかかりますよ(泣)
P.S.
その代わりやる気がある方であれば、資質がない人の方が、将来の管理職としては優秀になるかもしれません。