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クロージングをする際に気を付けること

昔、私が求人広告の営業をしていた時に、お客様のニーズをしっかりヒアリングし、そして、お客様にとって一番最適であろう商品を提案したのにも関わらず、お客様にご購入いただけなかったことがあります。
その時は、お客様にとって、こんなにジャストな提案は他にないので、お客様にとって申し訳ないことをしたな・・・と思いながらも、諦めました。

後日、私はたまにはレストランでゆっくり食事でも、と思って、少し高めのレストランにいきました。
私は高めのレストランに行くことは滅多にありませんので、恥ずかしいながら、メニューを見ても全然どのメニューが私に合うのか分かりませんでした。
そのため、ウエイトレスの方に、どのメニューが私に合うのか?聞いてみました。
そのウエイトレスの方は、私のニーズを色々ヒアリングしてくれて、それならコレが良いんじゃないでしょうか?とメニューを1つ提案してくれました。
その時に、上記のお客様はなぜ、私の提案を断られたのか、その理由が分かったような気がしました。
なぜなら、ウエイトレスの方のご提案は素晴らしかったのですが、1つのご提案だけだと、心理的に断りたくなったからです。
これを専門用語で心理的リアクタンスというのですが、どんなにベストな提案であったとしても、心理的リアクタンスが働いてしまうと、なんか断りたくなってしまいます。

そのため、もし、お客様にとってベストなご提案だったとしても、それだけを提案するのではなく、選択肢を用意してあげた方がよいでしょう。
(ちなみに、上記のウエイトレスの方は、その後、私の気持ちを察してくれたのか、他にも選択肢を提示してくれ、無事に最適なメニューを選ぶことができました。)

お客様の課題は、解像度を高めると色々なセグメントに分類ができてきますし、そのセグメントに合わせて、解決策も微妙に違ってきます。
そのため、どんな提案にも一長一短あることが多く、お客様がどこを妥協するかによって、お客様の選択肢が微妙に変わってきます。
例えば、価格差で3パターンほど用意し、その中で、値段を取るのか?または、どこまでニーズを満たせるか?を取るか?で訴求をしていくのもありでしょう。
このように、選択肢が1つだけではなく、いくつか用意してあげれば、お客様は選ぶ自由があるので、心理的リアクタンスは起きにくくなります。

また、心理的リアクタンス以外の観点では、お客様の損をしたくないという不安の解消にも繋がります。
お客様は常に損をしたくないという心理を前提に購買活動を行いますが、仮に、選択肢が1つしかなければ、他にもっと良い選択肢があるんじゃないか?という心理になり、やはり購入に踏み切れません。
なぜなら、以前の記事でもお伝えしましたが、常にプレゼンテーションを受ける側は、その主張に対して、「これだけか?」と「本当か?」という観点で常に疑っているからです。
例えば、「あなたにとって最適な化粧品はこちらです」と言われても、お客様は「自分に合う化粧品はこれだけなのか?」という疑念が払拭されまぜん。
そのため、選択肢をいくつか用意して上げると、その中からお客様がお選びいただく形になりますので、そうした疑念が生まれにくくなるのです。

そして、その中で、しっかり2つまで絞り込むことが大切です。
人間は、自分の意思で物事を選択したいと思いつつも、かと言って選択肢が多いと選択ができない生き物です。
しっかり2つまで選択肢を絞り込み、お客様が選択しやすい状況を作ってあげましょう。

ちなみに、クロージングに入る前は、しっかりテストクロージングをした方が良いです。
なぜなら、お客様がどこまで欲しいと思っているのか全く分からない状態でクロージングに入ると押し売りになってしまうからです。
もし、テストクロージングの段階で、お客様が欲しいと思ってくださっていないのであれば、提案する商品・サービスを変えるか、お客様の課題を再度ヒアリングし直す必要があるでしょう。
テストクロージングの方法としては、例えば、「今までのお話を聞いて、どこか良いポイントはありましたか?」という質問をする方法があります。
この時にポジティブな反応が多ければ、お客様はその商品・サービスに対して欲しいと思ってくれている可能性は高いです。そのままクロージングに入りましょう。
逆に、ネガティブな意見が出てくるのであれば、その商品・サービスを欲しいと思っていない可能性が高いです。
もし、ネガティブな意見ばかり出てくるようであれば、一度、提案する商材を変えるか、再度、ヒアリングするかしましょう。

上記の流れをまとめると、
テストクロージング→お客様のポジティブな反応→自分のおすすめの商品・サービスを提案。ジャストな解決策からは微妙に外れるが、値段差があるものなども提案として入れておく→選択肢を絞り込み、お客様の意思決定のサポートをする。

というような流れになります。

もちろん、上記の流れは必ずそうした方が良いという訳ではありません。
営業現場は常にケースバイケースですので、絶対の正解はないのですが、とはいえ、心理学などをもとにした流れを頭に入れておいた方が、営業力は高まってくると思います。